三条通りに何が起こっているか

〜“太陽の道”三条通の価値を守り高めるために
旧「友楽東」跡地の分譲マンション計画に、地元の声を!


80戸が入る分譲マンション、店舗はわずか1ヶ所のみ
三条通り角振新屋町の「シネマデプト友楽イースト」跡地(約2400平米)にて、施主:京阪電鉄不動産、施工:長谷工コーポレーションにより、7階建て・住宅80戸入居のマンションを建設する計画が進んでいます。
同所は、かつて「友楽会館」 として映画館、レストランや書店、サウナなどが営業し、
「シネマデプト」となってもシネコンや居酒屋など、多くの人々が集まった場所でした。


間口30mのうち、地域に聞いた『みせ』の分はわずか5.5m。
敷地には立体駐車場が計画され、地下一段・地上三段の計4段に積み上げる方式です。

住居は1Fに8戸、2Fから7Fに12戸、合計80戸という計画。三条通りに面した部分は、東から、車路・ゴミ置き場などの壁面・店舗・集会室の壁面・玄関・植込となっています。

「セキュリティ」優先の近年のマンションは、車路にはチェーン、玄関にはオートロックが設置され、唯一開かれているのは店舗部分となります。それも、ゴミ 置き場の壁面と、集会室の壁面に挟まれたわずかな間口。三条通りに接する敷地の間口全体の5分の1です。

 

つまり、新しい「シャッタ一通り」が出現するに等しい状態。

チェーンの掛かった車路、オートロックの玄関、そしてゴミ置き場や集会室などの壁面……三条通りに接するのはこんな施設となり、唯一の店舗は、関口5. 5mほど。このような状態はいわゆる「シャッタ一通り」で、「歩きたくなるまち」や「地域の賑わい」を感じることは到底できません。


一度建築され、分譲されれば、変更はほぼ不可能。
分譲マンションは、「区分所有法」という法律に基づいて分譲されます。80戸と1店舗ということは、分譲により81人の所有者が生まれることになります。もし建設後に例えば集会室やゴミ置き場の部分を変更しようとしたら、少なくとも41人以上の合意が必要ですし、「建替え」の場合なら5分の4として65名以上の賛成が必要です。
つまり、応舗の位置や面積などについて、一度建築されたら、その後に変更することは非常に難しいのです。


この場所は、さまざまな人の流れが交流する、奈良の街の核心地
春日山に昇る太陽が西に進んで、生駒の暗峠に沈む、その通り道である三条通りは、「おん祭り」を始めとする祭礼の舞台であり、神々の道でもあります。
特に計画地は、JRから三条通りを上る東西の流れ、近鉄から小西・東向を通る南北の流れが交わり、餅飯殿から「ならまち」、猿沢池から奈良公園へと向かう流れへと変化し、その交流の渦が生まれる場所です。奈良の街の核心、「へそ」に当たる当所には、人々の交流・賑わいのための施設が計画されて当然と思われていました。


中心市街地活性化や三条通地区計画の趣旨とはかけ離れた計画
近鉄・JRの奈良駅などを含むエリアでは平成20年から、内閣府の認定を受けた「奈良市中心市街地活性化計画(中活)」が進められています。


中活では、「訪れたくなるまち」「歩きたくなるまち」「活力のあるまち」 という三つの目標をかかげて、通行量や小売販売額を伸ばすための方策がいろいろ盛り込まれています。
また「三条通り」は奈良市の顔となるシンボルロードとして、現在西半分で街路事業が実施され、JRから猿沢池までを通して「人々が遊び楽しめる沿道を含めた商業市街地の形成を図る」ための「地区計画」(後述)も定められて、その目的のために建物のデザインなどに一定のガイドラインを設けています。


ゴミ置き場は移動可能だし、集会室がこの位置である必要もない。
計画では三条通り沿いに塀を作って設置するというゴミ置き場ですが、これは駐輪場横の受水槽を地下または階上に移すことで、その場所へ移動させることができます。(ゴミ収集は民間業者を利用)
また集会室が道路に面した場所である理由もありません。これらを移動させることで、店舗の間口や面積は容易に増やせるはずです


マンション住民の自動車使用も、三条通りにとって大きな懸念。
80戸の入居者が、どの程度自動車を使用するか不明ですが、計画では奈良市の指導要綱により40台の駐車場を確保しています。
しかし、この駐車場は鉄骨組のトレーが移動する立体形式で、車の出入りには相当の時間を要すると思われ、出入りの車が集中する時間帯には路上に渋滞が及ぶ懸念があります。
そして何よりも、日祝の歩行者道路や催事での通行止めなどに対して、住民の自動車が居住者の権利をたてに強引に通行する懸念もあります。


地域に聞かれた店舗こそ、この場所に必要な施設。
長谷工や京阪が、本当にこの場所にふさわしい建物を造るつもりなら、少なくとも建物の三条通りに面した部分は「開かれた店舗」とするべきでしょう。誰もが出入りできる商業施設は、人々が滞留し賑わうだけでなく、子どもたちを見守る機能も持っています。
住民のためだけの「閉ざされたマンション」は、地域コミュニティに背を向けた存在となってしまいます。少なくとも、三条通りに接する間口の半分以上は、地域に開かれた店舗などの施設にするべきです。
 

 

奈良の顔、三条通りにふさわしい建物を。
永年、奈良の商業地の中心であった「友楽会館」の跡地にふさわしい建物にするために、広く地域の声を集めていく必要があります。
また、開発事業に対する権限を持つ奈良市においても、総合的なまちづくりの観点から、事業者に対する協力な指導が求められます。

今後、今回のマンション計画にとどまらず、三条通りの価値を高めていくために、どのような建物がふさわしいのか、広く議論を起こしていく必要があると思われます。


〈参考〉地区計画の改訂も視野に。
平成9年10月27日施行の「三条通地区 地区計画」は、JR奈良駅前交差点より猿沢池までの「都市計画道路三条線」の境界線より両側に15mの範囲とされる適用地域の多数の地権者の同意を得て制定されたもので、下記のように方針が定められています。

しかし現在、条例で規制される建築物は、自動車修理工場と危険物取扱い施設のみで、分譲マンションはその対象ではありません。今後、地区計画の改訂をすすめることで、今回のような事業を未然に食い止めることも視野に入れるべきかと考えられます。


【地区計画の目標】本地区は、市の中心部に位置し、JR奈良駅から興福寺、春日大社、東大寺、奈良公園、奈良町など歴史地区への玄関口であるとともに、奈良を代表するショッピングストリートである市道三条線(以下「三条通」という)を有する商業地区である。
地区計画を策定することにより、三条通をより奈良らしいシンボル性のある道路に整備すると共に人々が遊び楽しめる沿道を含めた商業市街地の形成を図ることを目標とする。
【土地利用の方針】商業地として適正かつ合理的危土地利用を推進し緑豊かな風格とにぎわいあるショッピングモールとして商業施設の集積を図る。また、三条通はデザインの優れた照明、ストリートファニチャア、モニュメン卜等の施設の整備を図る。
【建築物等の整備の方針】都市計画道路三条線の計画に併せ、建築物の建替え等を適切に誘導し、良好な商業市街地の形成を図るため、建築物の用途の制限、壁面の位置の制限、建築物等の形態または意匠の制限を行う。
なお、三条通に面する1階部分の壁面またはショーウインドウ、透視可能なシャッター構造等の賑わいを高める構造に努める。




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変わる三条通り(参照テーマ)
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